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【揺らぐ沖縄】名護市長選告示まで1週間 容認でも反対でも普天間に「壁」(産経新聞)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題。日米合意で普天間の移設先となっているキャンプ・シュワブ沿岸部を抱える名護市で市長選(17日告示、24日投票)が迫ってきた。基地移転の容認か、反対か。政府が掲げる5月の最終決着に向けて、選挙結果はどう影響するのか。(大谷次郎、宮下日出男)

                   ◇

 ◆平野長官に反発

 「知事…。私の方も知事の決断をお願いするかもわかりません」

 9日午前。沖縄県庁6階の知事応接室では仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事と向かいあっていた平野博文官房長官が突然、こう切り出した。

 政府の迷走にすっかり「県外移設論」に傾いていた知事は一瞬凍り付いた。

 政府の最終結論は、知事が否定する「県内移設」かもしれない-。平野氏の発言をサインだと理解した知事は「恐ろしいですね…」とつぶやいた。

 知事は記者団には不満をあからさまにした。「県外とばかり思っている。『あれ?』という思いが強い」。新候補地をめぐる意見交換のために沖縄入りした平野氏。だが、県内移設が当然かのように米軍伊江島補助飛行場(伊江村)や下地島空港(宮古島市)を視察する姿に知事は反発した。

 平野氏は同日夕、記者団に発言の真意を聞かれ「これで決めたから(知事に)のめという意味ではない」と語ったが、政府と沖縄の温度差は広がるばかりだ。

 ◆推進には「覚悟」

 名護市長選は、移設受け入れ容認派と反対派の一騎打ちの様相だが、過去3回は容認派候補が当選した。今回も現職市長が再選を果たせば、キャンプ・シュワブ沿岸部がある同市辺野古に移設する案が、再び現実味を帯びるはず…。

 だが鳩山政権ではそう簡単ではない。社民党は「辺野古は自然の宝庫」(阿部知子政審会長)と断固反対で、民主党の小沢一郎幹事長も「沖縄のきれいな海を汚してはいけない」と繰りかえす。選挙結果を受け入れにくいムードがある。

 防衛省の長島昭久政務官は9日、拓殖大学海外事情研究所主催のシンポジウムで「市長選の結果が(辺野古案)推進の方向に出ても実行には相当な覚悟と困難を伴う」と指摘する。県外移設の期待が高まる中で辺野古移設を進めれば、反対派が建設阻止行動を激化させかねないからだ。

 移設反対派が勝てば当然、辺野古案はダメージを受ける。

 5日から訪米した自民党の石破茂政調会長も、キャンベル国務次官補ら米政府高官から「反対派が当選した場合は」と何度も聞かれた。そのたびにこう答えた。「『これが民意』ということが決定的になる」。辺野古移設に反対する新人候補が当選すれば、政府は新たな移設先の検討を加速せざるを得なくなる。

 ◆検討済みばかり

 新たな移設先には伊江島、下地島のほか、社民党が主張する米領グアム島、硫黄島(東京都小笠原村)がある。だがいずれも過去に検討され、米側と合意できなかった案ばかりなのが問題だ。

 「あらゆる案を十分に検討してきた」。米政府が現行案に固執するのは、一連の案が決して「新しくない」からだ。岡田克也外相もそれを痛感している。「米国は3月だろうと、5月だろうと、その先だろうと(現行案を)言い続けるだろう」。政府が新たな移設先を決めても、米側が拒否する可能性が高い。

 長島氏は9日のシンポジウムで、こう語った。

 「現行案より良い案が出てこない限り、米国は受け入れることはない。ということは、いまの普天間飛行場の危険性は継続する…」

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